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執筆者の写真計画 若宮

ポケモンパンシール子ちゃん

みなさんは、「ポケモンパンシール」をご存知でしょうか。

スーパーなどで販売している「ポケモンパン」におまけでついてるシールで、開けてみるまでどのポケモンが入っているか分からない、というものです。

小学生の頃、私もポケモンパンシール欲しさにポケモンパンを食べまくってた記憶があります。特にスイクンというポケモンが好きで、スイクン&セレビィというシールが当たった時は狂喜しました。

パン自体はなんて事ない、菓子パンなのですが、なんとなく蒸しパンが好きだったような気がします。

私はいつの間にか集めなくなってしまいましたが、たまに今でも集めている人を見かけます。

ポケモンパンシール子ちゃんもその1人です。

彼女の本当の名前は「ポケモンパンシール子ちゃん」なんて名前ではないのですが、ここでは便宜上、ポケモンパンシール子ちゃん、とします。

ポケモンパンシール子ちゃんは、小学校からの親友で、今では半年に1回のペースで遊ぶ仲です。普段、連絡は全くと言っていい程取りません。

Instagramで繋がってはいるのですが、ポケモンパンシール子ちゃんは基本的に投稿はしないので、彼女の近況はその半年に1回会う時に知ります。

ただ、彼女は手に入れたポケモンパンをInstagramのストーリー機能(24時間だけ表示される投稿機能)で必ず投稿するので、彼女が手に入れたポケモンパンシールだけはいち早く把握することができます。

彼女はポケモンパンシールしか投稿しません、が、かなりの頻度でシールを投稿します。

多分、平均して週一は投稿しているような気がします。私はそれをチェックするのが結構楽しみです。

彼女は中学生の頃からよく菓子パンを食べていました。

当時のお気に入りはポケモンパン、ではなくかにぱんでした。

かにぱんは、蟹の形をしたパンで、蟹の味はしません。

ほんのり甘い気はしますが、基本的に無味です。

蟹パンは蟹の脚の部分が簡単にちぎれるようになっていて、彼女はよく私に蟹パンの脚を分けてくれました。美味しくも、不味くもない、素朴なパンでした。

私は、今でも蟹パンをちぎって口に入れ、小さく咀嚼する、子リスみたいなポケモンパンシール子ちゃんをたまに思い出します。

彼女は小さく、白く、可愛らしい女の子でした。故に結構モテてました。私が好きになる人は6割ぐらいの確率で彼女を好きになりました。

私はそれに苦しみはしましたが、ポケモンパンシール子ちゃんを嫌いにはなりませんでした。私も、ポケモンパンシール子ちゃんが大好きだったからです。

長期休みはお互いの家に入り浸り、部活も、所属していた生徒会も同じ、塾も同じポケモンパンシール子ちゃんでしたが、別々の高校に進学することになりました。

彼女は市内の新学校、私は単位制の高校に進学しました。

それから、私と彼女が会うのは半年に1回のペースになっていきました。

けれど私たちは昨日会ったばかりのテンションで接します。

「やあ」と会って「じゃあ」と別れる関係は、それはそれでとても素敵だと思っています。

大学に入り、ポケモンパンシール子ちゃんにまともな恋人ができました。

「まともな」というもの、彼女はよくモテたのですが、少し変な、というか変態チックな人にモテる傾向があり、付き合ってもあまり長続きしていませんでした。

恋人ができたと報告を受けた私は、嬉しいような、寂しいような気持ちになりました。

当たり前ですが、私の知らないところで、彼女の生活は続いているんだなと思いました。

それでも、彼についてぽそぽそ喋る彼女はとても幸せそうでした。ポケモンパンシール子ちゃんは照れるとぽそぽそした喋り方になります。

そして私は、半年に1回のペースで恋愛相談を受けたり、一緒に記念日のプレゼントを選んだり、惚気を聞いたりしました。その時間は私と彼女を繋ぐ、とても大事な時間でした。

そのぐらいからポケモンパンシール子ちゃんはポケモンパンシール子ちゃんになりました。

そして3年程経った時、彼女は就職が決まり市外に出る事が決まりました。

恋人とは順調に関係性が続いており、就職先も近いので同棲するかもしれないとのことでした。

ポケモンパンシール子ちゃんはやっぱりぽそぽそと喋っていました。

私は、顔も、声も、全く知らないポケモンパンシール子ちゃんの恋人に、心の中で一瞬だけ舌を出しました。ほんの、一瞬だけ、でもめちゃくちゃ出しました。

私はポケモンパンシール子ちゃんが、本当に大好きです。

今日、ポケモンパンシール子ちゃんのInstagramのストーリーに新しく投稿がありました。

ポケモンパンシール、ではなく、銭湯によく売ってるコーヒー牛乳を誰かと2人、並んで持っている手元の写真でした。

友人と遊びに出たのかもしれない、家族かも、など思いながら私の胸はどんどん締め付けられて、でもそこに写っていたコーヒー牛乳を持つ親指はなんとなく幸せそうで、少し安心しました。

そろそろ半年に1度の、ポケモンパンシール子ちゃんと遊ぶ時期です。




最後に、夏にポケモンパンシール子ちゃんが撮ってくれた写真。

急に坊主にしたのだけど、「短いね」ぐらいで済ませてくれた所とかがとても好き。

内心とても驚かせてしまったかもしれないけど。


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